Amazon Marketing Stream
この記事では、Amazon Marketing Streamの概要を説明します。Amazon Marketing Streamは現在、連携パートナー様やその他の広告主様を対象としたオープンベータ版です。ここでは、主な機能、制限事項、よくある質問、一般的なユースケース、サンプルクエリを取り上げます。Amazon Marketing Streamの使用方法を理解したら、オンボーディングガイドをご覧ください。
ヒント
2023年2月以降、Amazon Marketing StreamはAmazon Ads APIでサポートされるすべての地域で利用可能になりました。
各トピックへのリンク:主な機能 | データセット | 制限事項 | 利用可能な地域 | 一般的なよくある質問 | サンプルクエリ | AWSワークショップ
概要
Amazon Marketing Streamは、パートナー様や広告主様による広告データセットの登録に使用できるデータストリーミングサービスです。Amazon Marketing Streamは、パートナー様や広告主様が所有するAWSのリンク先にほぼリアルタイムでデータを配信します。1日に何度もAPIを呼び出す必要はありません。Amazon Marketing Streamを使用すると、パートナー様と広告主様は、AWSサービスをネイティブに使用して広告データを受信し、処理できます。Amazon Marketing Streamは、一般に日中にキャンペーンを最適化するために必要となるAPI呼び出しの回数を減らすことで、データ統合パターンと運用効率を向上させるのに役立ちます。
主な機能
Amazon Marketing Streamには、APIベースのレポートを使用する方法にはない、新しい機能が備わっています。
- データ粒度の向上: トラフィックとコンバージョンデータは1時間ごとに集計されます。レポーティングAPIを使用している場合は1日ごとに集計されます。データは、Amazon Marketing Streamデータセットへの登録時に指定するAWSアカウントに自動的にストリーミングされます。
- スロットリングなし: Amazon Marketing Streamデータストリーミングを使用すれば、日中の更新のために頻繁にAPI呼び出しを行う必要はありません。これは、スロットリングを回避するだけでなく、データの正確性を高めるのにも役立ちます。
- ほぼリアルタイムのメッセージング: キャンペーンの予算を超過した場合など、予算の使用状況に関する通知が届きます。
- レポートディメンションの増大: APIベースのレポートでは、掲載枠レベルと広告レベルでパフォーマンスを表示できます。一方、Amazon Marketing Streamでは、1つのデータセットで利用可能なすべてのディメンションを表示できます。APIベースのレポートでは、ターゲットIDレベル、掲載枠レベル、広告レベルでパフォーマンスを表示できます。一方、Amazon Marketing Streamではこれらすべてのディメンションのデータをまとめて表示できます。そのため、特定の掲載枠のキーワードパフォーマンスといった、詳細なデータを確認できます。これは、Amazon Marketing Stream特有の機能です。その結果、キャンペーンの効率向上に役立つより多くのインサイトが得られます。
- 集計ではなく差分に基づくインサイト: Amazon Marketing Streamでは、集計ではなく差分の値をプッシュするため、キャンペーンのパフォーマンスをより正確に把握できます。これは、キャンペーンパフォーマンスの経時的変化を理解するのに役立ちます。以下のサンプルクエリに、Amazon Marketing Streamを使用してパフォーマンスを把握する方法を示します。
- 簡素化されたワークフロー: Amazon Marketing Streamを使用すると、ご使用のAWSアカウントからネイティブにすべての広告データにアクセスできます。また、Amazon Marketing Streamはスナップショットではなく、データの変更をプッシュします。このため、新しいデータを受信したときに変更された内容のみが示されるので、抽出、変換、ロード(ETL)プロセスが簡略化されます。 Amazon Marketing Streamを使用しない場合は、スナップショットレポートをプルしてから、それをネイティブなデータストアと比較して変更された内容を把握する必要があります。これは非効率的なプロセスです。
Amazon Marketing Streamデータセット
現在、Amazon Marketing Streamにはレポートとメッセージングという2つのデータカテゴリーがあります。Amazon Marketing Streamで使用可能なすべてのデータの詳細については、Amazon Marketing Streamデータガイドをご覧ください。
レポートデータ
Amazon Marketing Streamレポートには、1時間ごとに送信されるトラフィックとコンバージョンを含む、広告主様が処理した(未加工でない、集計された)パフォーマンスデータと、分析に必要なデータディメンションが含まれます。
メッセージングデータ
Amazon Marketing Streamメッセージングは、エンティティの状態の変化やその他のイベントに関する通知をほぼリアルタイムで送信します。現在、このメッセージングには予算の消費量が含まれており、予算配分が5%以上変更されるたびに通知を送信します。今後、商品の利用資格、推奨入札額、その他のイベントに関する通知も送信するようにメッセージングを拡張する予定です。
制限事項
Amazon Marketing Streamは現在オープンベータ版です。今後、パートナー様や広告主様と協力してフィードバックを収集しながら、さらに機能を追加していく予定です。現段階での制限事項の概要を以下に示します。
- キャンペーンタイプ: コンバージョンおよびトラフィックデータは、スポンサープロダクト広告とスポンサーディスプレイ広告でのみ利用できます。
- 地域: スポンサープロダクト広告およびスポンサーディスプレイ広告のデータは、Amazon Ads APIでサポートされるすべてのマーケットプレイスで利用できます。予算の使用状況データは、インド以外のすべてのマーケットプレイスで利用できます。
- データ型: 広告データでのみ利用可能です。Amazon Marketing Streamではリテールデータは利用できません。
- キュー: Amazon Marketing Streamでは、単純なSQSのみ利用可能です。FIFOキューはサポートされていません。
利用可能な地域
Amazon Marketing Streamは、全世界の広告主様がご利用いただけます。広告主様のマーケットプレイスによって、キューの作成やデータセットの登録時に使用するAWS地域が決まります。以下の表で、サポート対象の国と、各国で使用するAPIエンドポイントおよびAWS地域をご確認ください。
マーケットプレイス | 地域 | APIエンドポイント | AWS地域 |
---|---|---|---|
アラブ首長国連邦(AE)、ドイツ(DE)、エジプト(EG)、スペイン(ES)、フランス(FR)、ベルギー(BE)、イギリス(UK)、インド(IN)、イタリア(IT)、オランダ(NL)、ポーランド(PL)、サウジアラビア(SA)、スウェーデン(SE)、トルコ(TR) | EU | https://advertising-api-eu.amazon.com |
eu-west-1 |
ブラジル(BR)、米国(US)、カナダ(CA)、メキシコ(MX) | NA | https://advertising-api.amazon.com |
us-east-1 |
シンガポール(SG)、オーストラリア(AU)、日本(JP) | FE | https://advertising-api-fe.amazon.com |
us-west-2 |
一般的なよくある質問
Amazon Marketing Streamの使用には費用がかかりますか?
場合によっては、費用が発生することがあります。Amazon Marketing Streamの使用や、Amazonマネージドサービスへのデータの保存に関しては、Amazonが広告主様に費用を請求することはありません。ただし、ご使用のデータの範囲によっては、AWSを使用した際に費用が発生することがあります。[AWSの料金の詳細をご確認ください](https://aws.amazon.com/pricing/)Amazonの広告主であれば誰でも、Amazon Marketing Streamを利用できますか?
はい。連携パートナー様、代理店、セルフサービスの広告主様はどなたでも、Amazon Marketing Streamへのアクセス権をリクエストできます。アクセス権のリクエストの詳細については、[Amazon Marketing Streamオンボーディングガイド](../../guides/amazon-marketing-stream/onboarding.html)をご覧ください。Amazon Adsパートナーとして統合を進めているところです。既存のAPIベースの認証を使用できますか、それともAmazon Marketing Stream専用の新しい認証情報が必要ですか?
API認証情報がある場合は、追加の認証は必要*ありません*。既存の認証情報を使用してAmazon Marketing Stream APIを呼び出すことができます。Amazon Marketing Streamを利用するには、開発者リソースやその他の専門的なスキルが必要ですか?
はい。少なくとも最初は、Amazon Marketing Stream登録API接続を確立するための開発者リソースが必要です。Amazon Marketing Streamのデータは、パートナー様または広告主様が所有するSQSキューにストリーミングされます。開発者は、登録APIを使用して、登録を作成、確認、管理します。認証が完了すると、データにアクセスするためのURLが届き、API呼び出しは不要になります。 さらに、Amazon Marketing Streamを最も効率的に使用するために、AWSがどのように機能するかをしっかりと理解することをおすすめします。Amazon Marketing Streamを使用してデータを送信する際のデータセキュリティは、どのように確保されていますか?
Amazon Marketing Streamでは、広告主様のデータへのアクセスを許可された登録にのみ、データが配信されるようにしています。Amazon Marketing Streamはいつ一般公開されますか?
具体的な日付は決まっていませんが、2023年内にはAmazon Marketing Streamを一般公開する予定です。それまでのオープンベータ期間中は、Amazon Marketing Streamをさらに改善していきます。Amazon Marketing Streamのロードマップに関する最新情報は、一般的なチャネルやオンラインセミナーなどの通信手段を通じて皆様にお伝えします。Amazon Marketing Streamのオンボーディングプロセスはどのように始めればよいですか?
まずはじめに、[Amazon Marketing Streamオンボーディングガイド](../../guides/amazon-marketing-stream/onboarding.html)をお読みください。このガイドでは、APIへのアクセスの取得方法、AWSとの統合方法、Amazon Marketing Stream APIを使用したデータセットへの登録方法を詳しく説明しています。また、[Amazon Marketing Streamのクエリに関するよくある質問](../../guides/amazon-marketing-stream/querying-data.html)で、データのクエリに関してよくある質問もご確認ください。
ユースケース
Amazon Marketing Streamの主なユースケースには、1日の中で変化するパフォーマンスデータに関するインサイトを取得できることがあります。このデータは、キャンペーンをさらに最適化するために、1日の中で入札額や予算をどのように調整するかを理解するのに役立ちます。Amazon Marketing Streamを使用して、プライムデーなどのトラフィックが増大するイベントの開催中にほぼリアルタイムのパフォーマンスデータを利用して、入札額や予算を適宜変更することもできます。
- 入札額の調整: 過去の毎時のトラフィックデータに基づいて、1日に1回ではなく、1時間ごとに入札を行えます。たとえば、特定のキーワードについて、特定の曜日や時間帯にトラフィックが増大することがわかった場合、その時間帯により積極的に入札を行うことができます。
- 予算の調整: 広告費に基づいて、予算超過が発生しないようにキャンペーン予算を調整できます。反対に、予算の配分に比べて広告費が少なすぎる場合は、より積極的に入札を行えます。さらに、Amazon Marketing Streamは、コンバージョンが高く、CPCが低い時間帯など、貴社のビジネスに重要な時間帯を特定するのにも役立ちます。これらの詳細なインサイトは、キャンペーンを予算内に収めるのに役立ちます。
サンプルクエリ
Amazon Marketing Streamのデータに登録してご使用のデータベースに保存したら、必要なデータパラメーターに基づいてクエリを実行できます。特定の時間帯について、特定のキーワードに関するトラフィックデータを取得する場合のサンプルクエリを以下に示します。その他のサンプルおよびクエリの詳細については、Amazon Marketing Streamを使用したデータのクエリをご覧ください。
キーワードのトラフィックデータを取得する
クエリ
このクエリは、08:00からの1時間におけるキーワードのパフォーマンスの差分を示します。
警告
このクエリは、Amazon Marketing Streamデータが
amazon-marketing-stream.sp-traffic
の表に保存済みであることを前提とした仮説に基づいています。実装では異なるデータベース構造または命名規則が使用されている可能性があるため、このクエリを実行する前に必ずWHERE項目を更新してください。
SELECT *
FROM "amazon-marketing-stream"."sp-traffic"
WHERE keyword_id = '12345678'and time_window_start = '2022-02-01T10:00:00-08:00'
ORDER BY day, hour DESC;
サンプル出力
以下のスニペットは、クエリで返される可能性のある表形式のデータを示しています。このクエリに基づいて、掲載枠(I列)、つまり選択した時間帯に関連するプロダクト広告が表示された場所を把握できます。この例では、「Detail Page on-Amazon」を表示するようにフィルタリングしています。 指標フィールド(N~P列)を見ると、差分、つまりトラフィックが検証され、修正されるに伴ってデータがどのように変化したかを把握できます。
その他のサンプルおよび詳細については、Amazon Marketing Streamデータガイドをご覧ください。
AWSワークショップ
このワークショップでは、Amazon Marketing StreamとAWSのテクノロジーを使用して構築された、サーバーレスデータ分析およびマネージド機械学習プラットフォームの例を紹介します。開発者、データアナリスト、アーキテクトの皆様は、このワークショップを利用することで、ビジネスに役立つStream導入に関する実用的なアイデアを得ることができます。
ワークショップを見る: